リベラル・アーツの構築


 

鳥の人モード

今回はリベラル・アーツのお勧め記事になります。どういう人へのお勧めかというと、これから何をしたら良いのか目標が定まっていない人、テーマはぼんやりと決まっているんだけど戦略が整わない人、ひらめきでクリエイティブな仕事をしてみたい人(営利的な仕事に限りません)、他にも応用が利くと思います。特に直観を大事にしている、目の前のリアルよりも可能性を求めるタイプの人に相性が良い自己実現型戦略論です。

リベラル・アーツの淵源は古代ギリシャにあります。主に文系の3学と数学系の4科を合わせたリベラル(自由な)アーツ(思考技術)を磨くための分類分けで、自由7科とも言います。

ソクラテスやプラトンが活躍したギリシャ時代では、PHILOSOPHY(知を愛すること)が最も重要視されていました。和訳では哲学ですが、現在の哲学とは全く違っていて、学問をトータル的にフィロソフィーと呼んでいた時代です。

西洋の中世から近世にかけ哲学の領域がどんどん狭められて、現代では「主に先人の哲学を研究する専門分野の学問」のことを日本の大学では哲学と呼んでいます。本来は、好奇心いっぱいで「疑問に思って、問うて、考えること」が哲学です。ゆえにPHILOSOPHYのために、上図の7科を横断して学ぶスタイルがとられていたというわけです。(ソクラテスは修辞学に反対でしたが)

 

さて話は変わりますが、最近図書館で借りてきた中でとてもためになることがたくさん書かれていた本をご紹介します。お勧めです。

ダイヤモンド社 山口周著 『知的戦闘力を高める 独学の技法』 (2017年11月15日刊行 1620円)

表紙をめくると黒いページにいきなり白抜き文字の言葉が目に飛び込んできます。

思うに私は、価値のあるものはすべて独学で学んだ

(チャールズ・ダーウィン)

 

コンサルタントの著者は、これからの時代は専門バカでは駄目だと言い、リベラル・アーツの重要性を解説していくのですが、とにかく解りやすい。ロジックも解りやすく、最初から最後までの筋立てが非常に解りやすく、テキストの大きさもメリハリがあって楽に読めてしまいます。「覚えたことをどんどん忘れていい(忘れるべき)」とも言っています。基本はビジネス論なのですが、ビジネス以外の「仕事」でも、趣味やスポーツにでも応用が利くと思います。

著者は独学を四つのモジュールのシステムとして組み立てます。

1「戦略」→2「インプット」→3「抽象化・構造化」→4「ストック」

各章のサブタイトルは次のようになっています。

序章 知的生産を最大化する独学のメカニズム

第一章 限られた時間で自分の価値を高める「戦略」

第二章 ゴミを食べずにアウトプットを極大化する「インプット」

第三章 本質を掴み生きた知恵に変換する「抽象化・構造化」

第四章 知的ストックの貯蔵法・活用法「ストック」

最後の第五章では、リベラルアーツを学ぶ意義として次の5点を主張しています。

1.イノベーションを起こす武器となる
2.キャリアを守る武器となる
3.コミュニケーションの武器となる
4.領域横断の武器となる
5.世界を変える武器となる

古代ギリシャの自由七科にあたる著者お勧めのジャンルは11種類。

歴史・経済学・哲学・経営学・心理学・音楽・脳科学・文学・詩・宗教・自然科学

このうちまずは、自分のテーマに応じた2種類を学んでクロスオーバーさせる。ここでのポイントは次のように書かれています。

掛け合わせるジャンルについては、「自分の持っている本性や興味」を主軸に選ぶべきで、他人が「持っているもの」で、自分が「欲しいもの」を主軸にしてはいけない。

 

ただ、全部が全部、著者の主張どおりにする必要はなく、例えば第四章には本をノート換わりにしてどんどんアンダーラインを引いたり言葉を書き込んで付箋を貼っていくことを強く求めていますが、私はそうしません。

或いは、上記ジャンルで99冊の書籍が紹介されていますが、私としては特に哲学や心理学で著者とは全く別の本を紹介するだろうなあと思いました。99冊のうち興味を惹かれたのは7~8冊でした。あくまで参考ですね。

私には6割か7割くらいの共感がちょうどいい。8割以上共感だと残りの2割以下に強い拒否反応を示すことになりますし、5割以下の共感ではストレスを抱えることになります。私はこれを友人等を選ぶときの基準にもしています。

 

テーマとジャンルを暫定的に決めて、リベラル・アーツのシステムを構築します。けっこう楽しい作業です。

 

ギリシャ時代と上記の本の、リベラル・アーツの考え方を基に自分でオリジナル構築したのが、前の記事『小さな志ですが。』に掲載した下のイラスト図です。

自分独自の変形リベラル・アーツです。「こころの美学を創造すること」がテーマになっていて、(大西克禮の)美学、医学系の科学、認識論と自由論系の哲学、日本思想、意識と無意識を解明する分析心理学の5つのジャンルをクロスオーバーさせる形です。日本思想の中には文学や歴史、倫理学、老荘思想なども関連付けていますし、哲学では個人主義や共同体主義等のイデオロギーを関連付けています。おそらく更に広がっていくでしょう。

私はそれほど広範囲に多くの著者の本を読みません。例えば哲学ならばニーチェとカントだけを深く掘り下げます。もちろんロールズの『正義論』やJSミルの『自由論』なども読みますがこれらは浅くて良いと思ってます。分析心理学ではユングだけを深く、ですね。

なぜヘーゲルやハイデッガーや、心理学でいえばフロイトを読まないかと言えば、独りで充分だからです。例えばニーチェを読めば、ニーチェによってギリシャ古典文献学はすべてフォローされていますし、カントやデカルトなど、19世紀半ば以前に活躍した哲学者の叡智をニーチェという天才が所有しているわけです。ユングについても同様のことが言えます。自分と相性の合う先賢を小人数で良いので深く何冊も読んで、「ニーチェならこう言うだろうな」というところまで一体化したほうがいい。『西洋流と日本流、真逆とも言える無意識への道』の記事で触れた内田樹さんが、レヴィナスだけを深く読みこんで「レヴィナスなら内田樹だ」と言われるほどまでになったと同じところを目指したい。

ニーチェにしてもユングにしても、大西克禮にしても、私とは比較にならないほどの、否、比較することが失礼なほどの天才・秀才なのですから、彼らのエッセンスを凝縮してその叡智を自分の血肉にできるのなら、ニーチェひとりの3割でも凄いことになります。

 

あなたも自分独自のリベラル・アーツのスタイルをつくってみてはいかがでしょうか。

 

ということで、今後のブログスタイルは、同じジャンルのテーマを連続させないように、連続させるとしても今までのように(1)→(2)のようには続けないことを基本とします。既に『幽玄(1)』を書いていますが、『幽玄(2)』は幾つか別の記事を挟んだうえで記載していくというイメージです。そのほうが自分の頭のなかがクロスオーバーし易いと思いますので。