日本的美学論と無意識論の結合


 

夜の人モード

大西克禮『美学コレクション』全3巻を購入し手元に揃いました。大袈裟な表現になりますが、この本は私に出会うのを待っていた、そんなふうに、感動を超えて感激しています。美学者・大西克禮氏(1888-1959)が生前に著した数冊の著書を現代仮名遣いに直し、3冊に纏めた著作集です。2012年~2013年に刊行され未だ初版のままですので、(たぶん人気がないため)おそらく重版はなく絶版になるかもしれず、確保できて良かったです。高価でしたが価格以上の価値ありです、私にとって。

 

 

1冊目の帯にはこうあります。

長く理論的考察がなされないまま、独特の美概念としてただ体験的に論じられてきた 幽玄・あはれ・さび の理論的様相を、美学者の立場から明かした画期的業績。

 

2冊目の帯にはこうあります。

人と自然とが対立しない美という日本人の感性の最深層を探る。知性によって自然を統御支配するよりも、生活そのものを自然の多変性、多様性に順応させる文化の息吹。

 

3冊目の帯にはこうあります。

西洋美学の枠を破り日本特有の美概念をも組み込んだ新たな普遍美学への試み!

東洋的芸術精神のパントノミー即ち本源的綜合性とは何か。生活の全面と深く一体化する芸術の心を総合的に理論化する。

 

「美学」というと芸術(美術や音楽など感覚的なもの)を想像するかと思いますが、いやまさに西洋の美学はそこが基本なのですが、日本の美学は感覚的なものにとどまらず、抒情的なものもあれば生きかたの信条的なものもある。日本人は古くから、非常に幅広く、この「美しさ」というものに、外形的にも、内面的にも、生きざま的にも拘ってきたのです。『葉隠』の武士道や世阿弥の『風姿花伝/花鏡』、その他挙げればきりがないほどですが、深いところで通底しているのは、日本人的な、美しさの意識です。

大西克禮は、その日本人的美学観を体系化し、理論化しようとしました。

彼の論は実に多面的です。認識論的な哲学であり、日本人が連綿と受け継いできた無意識の美学すなわち深層心理学であり、平安王朝からの抒情的な国学の系譜であり、知性・知識に裏打ちされた想像的体験論であり、集団生活の芯とすべき道徳を扱う倫理学であり、人と人との絆の美しい人情論であり、もちろん感覚的な芸術論でもあるのですが、それらすべての基準に「美しさ」を置いた。

悲哀や悲壮・悲愴の「陰性」の美しさなどはまことに日本人らしい、独特の、無常感的な美しさの捉えかただと思います。

 

大西克禮氏も心理学に少し触れていますが、そうした美しさを感受できる心の構えは(実際に「構え」という言葉も本文で使っています)、無意識論へ伸びてゆきます。

私は、大西克禮の日本的美学論と、ユングの深層心理学的無意識論を結合させようと思っています。