『新・観光立国論』についての議論(4)


 

谷の人モード

『世界一訪れたい日本のつくりかた(新・観光立国論 実践編)』

デービッド・アトキンソン氏の観光産業の提案にかんする議論を書いているのですが、シクロシニティと言いますか、今日、下記のニュースを目にしました。

国宝・重文の公開制限緩和へ 刀剣など「長期耐えうる」

文化庁は、国宝や重要文化財に指定されている美術品や工芸品について、「年間延べ60日以内」としている公開制限を来春にも緩和する方針を固めた。(以下、略)

 

この問題点はアトキンソン氏がたびたび指摘してきた問題です。

どういうことかと言うと、「アトキンソン氏のアドバイスに沿って政治が動き始めている」という雰囲気を醸し出しているのです。

『日本再生は生産性向上しかない(2017年6月)』

上記書籍の中に、アトキンソン氏と自民党幹事長の二階氏との対談が収録されているのですが、最後に二階氏はアトキンソン氏にこう述べています。

観光は国民一人ひとりが参加できる分野であり、国民に明るい希望をもたらしてくれます。私も世界一の観光立国を目指し、政策を力強く前に進めていくことをお約束します。アトキンソンさんにはこれからも、海外からの目で日本の問題点をどんどん指摘してもらいたいと思いますし、今後も積極的に提言してください。自民党の幹事長としてしっかりと応えていきます。(p222)

 

更にもうひとつ、こちらも今日のニュースです。

「カジノ」に自治体が熱視線 五輪後も訪日客呼びたい

カジノを中心とする統合型リゾート(IR)の実現に向けた準備が本格化してきた。政府は秋の臨時国会へのIR実施法案提出をにらみ、全国での説明会を始めた。自治体や内外の企業の動きも熱を帯びる。(以下、略)

 

上記も政府の動きです。

二階氏は次のように述べていました。

(IRについて)重要なご指摘ですので、党でもいま一度、検討したいと思います。IRに関しても、正々堂々とその必要性を訴えて国民の理解を得る努力が大事ですね。(p214)

 

『世界一訪れたい日本のつくりかた(新・観光立国論 実践編)』 のなかで、アトキンソン氏はIR事業の正当性について熱く語っています。IRについての項目のタイトルは以下のとおりです。

IRこそ「価格の多様化」の最終兵器

「カジノなしのIR」が非現実的なわけ

IRが地方経済に与える「相乗効果」

日本に向いているのは「リゾート型IR」

IRは文化財や職人を守る

※IRとは、高級ホテル、国際会議場、高級ブランドなどを扱うショッピングモール、シアター、コンサートホール、アミューズメントパーク、そしてカジノがすべてひとつにまとまった超巨大リゾート施設のこと。昨年12月にIR推進法が国会通過。(同書p260)

 

政治がドラスティックに動いています。

 

IR事業に関しては、ギャンブル依存症が懸念されるとの意見がありますが、IRのカジノで顧客として想定しているのは、海外のお金持ち、大富豪、日本では富裕層の一部でしょうから、一般庶民が気軽に出入りできる雰囲気ではないと思います。ドレスコードが必要かもしれませんし。大富豪や富裕層がギャンブル依存症になっても別にいいんじゃないでしょうか。駄目ですか。

あと、ギャンブルで金儲けするのはけしからん、日本がそういう国に見られたくないという、主に道徳論からの議論があります。かくいう私も、IRについては反対とする立場でした。

しかし、アトキンソン氏のIR事業にかんしての説明を読んで、認識が変わりました。

IR事業に賛成します。

決定的なのは、少子高齢化に伴う福祉にかんする財源が必要で、このままでは、若い人たち、子どもたち、これから生まれる子どもたちが重税に苦しむことになる。国の借金が莫大となっていること(正確には政府の借金で、債権者の多くは国民と日本の金融機関なので世界の中での日本という国家が財政破たんすることはない)。他にも理由が挙げられますが、要は、きれいごと言っている状況ではないということです。