不安定不透明な未来とナショナリズム


 

夜の人モード

この3~4年、仕事関連で VUCA (ブーカ)という経済用語が使われるようになりました。もともとは軍事用語でアルカイーダのことを主に指してアメリカ軍関係者が使い始めたとのこと。「VUCAの時代に入った」のは軍事だけでなく経済もそうで、インターネットを利用したIT事業を中心に大変革が起こった。Vucaとは、Volatility(不安定・変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字から成り立っています。

未来を予測できず不透明な時代というわけです。

インターネットによって世界の情報が結びつきました。Facebook等のSNSがグローバリゼーションに拍車をかけた。仕事のスタイルも変わり、会社のスタイルも変わりつつあり、人とお金、モノ、情報、そして「価値」が世界規模で流動的になっています。何もかもが不安定な状況で未来の予測が立たない中では、これから子どもを産んで育てていこうとする世代は特に、将来不安をずっと抱えたままの人生になる。

安定した足場の無い時代なのです。

自分の勤めている会社がいつM&Aに合うか解らないし好調が持続する保証もない。むしろ会社の寿命は大幅に縮んだと思います。真面目に勤務していても四十代でリストラに合うかもしれないし会社が倒産する可能性も十分にある。

これは相当に精神的負担が大きい状態ではないか。心を病む人が増えて当然のように思えます。

そうした状態ですので、みな無意識のうちに安定した足場となる何かを探している。インターネット上のSNSによりどころを求めたり、できるだけ安全な集団に所属して支え合いたいという欲求が生じてくるのは必然です。

 

ナショナリズムもその一つで、日本の国の一員であることに、まずは安心と安全を感じたい。できれば「日本」に誇りをもちたい。「日本って凄い!」という内容の記事や書籍がよく読まれているとのことですが、これはメディアの販売戦略で、ターゲットとなっているのは多数の現代日本人の抑圧された心理です。ささやかな慰めですが、それでも有った方がいい。

確かなものとしての依存先は、宗教、会社や官公庁行政機関または何らかの職業的団体、「〇〇の会」などへの帰属意識、あるいはイデオロギー集団(左翼だとかネトウヨだとか)にでも所属している気分を味わえることで、少しは「独りぼっちじゃない」という安心感を得られる。本来は日本の場合、三世代家族を中心とした「家」に対する帰属意識が精神安定材料だったのですが、核家族化によって「家」は壊滅状態です。

 

世界的にナショナリズムへの意識が高まっているのは、もちろんポリティカルコレクトネス運動に対する反発もありますが、「超、超、不安定な時代」だから確かなる足場への欲求もあるのではないかと、私はそう考えているということです。

そこでナショナリズムについて書こうとしていたのですが、ナショナリズムの定義が多義的でどうもすっきりと書けません。国家と民族、郷土意識、この3つをナショナリズムとしてひとくくりにしたくはない。それぞれ意識が違います。なのでナショナリズムというタイトルでの考察は断念します。別の観点から光を当て、分類から始めようと思う。

 

次の記事では、所属欲求の価値(所属先の分類)についてまずは考えます。