深淵から見られる自分

「自分探し」という言葉があります。 私にはどうしても実感できないのですが、この言葉を用いるかたは、「本物の自分」があると考えているのではないかと思います。この、「本物の自分」ということが私にはわからない。多面的な人格はあるのですが、どれもこれも本物ではなく全てを統合して「自分」になっている、という考えかたをしています。ただ、その「心の核」となる魂のようなモ... Read More

無意識の混沌から生まれる創造

心理学というジャンルが本格的に学究されだしたのは18世紀後半頃からで、とても若い学問です。なかでも無意識の心理学については、ピエール・ジャネ(1859-1947)、ジークムント・フロイト(1856-1936)、カール・グスタフ・ユング(1875-1961)らが道を開き20世紀に開花したばかりです。   近代自我は、合理性、効率性、計画性、整合性、... Read More

《心のすがた》のブランディング

小林秀雄の文学的表現、「すがた」について引用します。 「論語」はまずなにを措いても、「万葉」の歌と同じように意味を孕んだ「すがた」なのです。古典はみんな動かせない「すがた」です。 その「すがた」に親しませるという大事なことを素読教育が果たしたと考えればよい。「すがた」には親しませるということが出来るだけで、「すがた」を理解させることは出来ない。とすれば、「... Read More

ぐんぐん伸びるホームラン

今日はまず、野球のバッティングフォームを例にとります。 プロ野球のホームランバッターのバットスイングは、ただ一人の例外もなく(私の知る限りですが)、「前」が非常に大きいです。この「前」というのは時間的な前ではなく(時間的には後になります)、ピッチャー側のスイングのことを言います。プロゴルファーの飛ばし屋も同じように「前」が大きい。この「前」のことをフォロー... Read More

チクセントミハイのフロー

脳科学者の茂木健一郎氏が絶賛しているチクセントミハイのフロー体験とは何だろうかと思い、2冊の彼の著書『クリエイティヴィティ』(2016.10) 『フロー体験・喜びの現象学』(1996.8)を読んでみた。正直言って前者はほとんど得るところがなかった。成功者のエピソード体験が9割以上だろう。 後者の書は良かった。もう少し丁寧に読み直そうと思っている。 ちょっと... Read More

― 永遠の香り、永遠の匂いだ。うっとりと薔薇のような、濃い黄金色の葡萄酒にも似た香り、年老いた幸福の香りだ。 ― 真夜中の酔い痴れた死の幸福の香りなのだ。その幸福は歌う。 「世界は深い、昼が考えたよりも深い!」と。 わたしの肌は、お前の手に触れられるには、余りに清浄だ。構わないでくれ、お前、愚かで、粗野で、陰気な昼よ! 真夜中の方が、もっと明るいのではない... Read More

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