大海にひとり


何日も陸地が見えない北太平洋の海にひとり、船で旅をしているとすると、いったいどういう心境になるんだろう。

おだやかな海ばかりではないし、船底と鯨が接触するかもしれないし。

子どもの頃に『海のトリトン』っていうアニメがあって、歌詞がよかったんだ。知ってる人いるかな?

 

水平線の終わりには~、虹の橋があるのだろう~

 

水平線ってロマンチックなんだよね、なんで向こうが見えないんだろうってなる。

トリトンは誰も見たこともない未来の国を探し求めて、ひとり旅立つんだ。希望の星を胸に。夢の国があるかもしれないと。

不安だとか心配ごとだとかリスクだとか、少年にはそういうのゼロなんだよね。

確かに子どもの頃は、未来に対するネガティブ感情ゼロだったかなあ。宿題をやってなくて先生に怒られることを前提に登校していくときでさえ、まあなんとかなるさと思っていたし。

おとなになると失いたくないものができちゃうからなのかも。
それがモノじゃなくて、感情そのもののこともある。

残る命が短くなったかなと実感するとき、やっぱり、少年となって大海へ冒険に旅立ちたいって思ったんですよ。体が動けるうちに。

 

 

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