リベラリズム考(8)―正義

リベラリズムの淵源である「啓蒙思想」は、理性の光によって公正な社会を啓(ひらく)くことであった。では、公正とはいったい何か。さっそく理性の光で照らし、リベラリズムの本質と「正義」との関係を掘り下げよう。   現在の日本でリベラルの権威は誰かと問えば、井上達夫東大教授の名が挙がるだろう。井上氏によれば、リベラリズムとは正義主義だという。 井上氏が東... Read More

リベラリズム考(7)―自律

前記事の後半で言及した「自律」については、個人主義において重要な位置を占めると思うのでもう少し掘り下げてみたい。 まず、西尾幹二氏の言葉を引く。 ことさらに社会的意識を標榜せずとも、ただ「個人」であることによって、じゅうぶん社会化された個性を発揮できるというのが真の個性の意味なのである。(中略) 「個人」が自律的であるということは、「社会」からの解放や自由... Read More

リベラリズム考(6)―個人主義(ⅱ)

同一日の2記事掲載ですので、個人主義(ⅰ)を先にお読みください。以下、まずは事典の引用から入ります。   (3)規範的主張 規範的主張としての個人主義は、何をもって良き生とするかの決定を個人に委ねよ、という個人の自律・自己決定を主張する。 この規範的な個人主義は、理論的には、社会の存在性格についての存在論的な個人主義とは独立であって、社会を超個人... Read More

リベラリズム考(5)―個人主義(ⅰ)

今回は前回の流れからリベラリズムの批判と吟味についての論考を書く予定をしていたけれども、まだ批判には早いと考え直した。リベラリズムの別の側面についてを更に考究するために路線変更をし、今回は、個人主義についての考察をしてみようと思う。 リベラリズムの性格の中核には個人の尊重がある。 日本人は海外からの評価的にも自己評価的にも、「個人」として成熟していないと思... Read More

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