リベラリズム考(7)―自律

前記事の後半で言及した「自律」については、個人主義において重要な位置を占めると思うのでもう少し掘り下げてみたい。 まず、西尾幹二氏の言葉を引く。 ことさらに社会的意識を標榜せずとも、ただ「個人」であることによって、じゅうぶん社会化された個性を発揮できるというのが真の個性の意味なのである。(中略) 「個人」が自律的であるということは、「社会」からの解放や自由... Read More

リベラリズム考(6)―個人主義(ⅱ)

同一日の2記事掲載ですので、個人主義(ⅰ)を先にお読みください。以下、まずは事典の引用から入ります。   (3)規範的主張 規範的主張としての個人主義は、何をもって良き生とするかの決定を個人に委ねよ、という個人の自律・自己決定を主張する。 この規範的な個人主義は、理論的には、社会の存在性格についての存在論的な個人主義とは独立であって、社会を超個人... Read More

リベラリズム考(5)―個人主義(ⅰ)

今回は前回の流れからリベラリズムの批判と吟味についての論考を書く予定をしていたけれども、まだ批判には早いと考え直した。リベラリズムの別の側面についてを更に考究するために路線変更をし、今回は、個人主義についての考察をしてみようと思う。 リベラリズムの性格の中核には個人の尊重がある。 日本人は海外からの評価的にも自己評価的にも、「個人」として成熟していないと思... Read More

リベラリズム考(4)―Liberty

多義的であるリベラリズムの淵源が啓蒙と寛容にあることを再確認した。次は、啓蒙と寛容がいかにして「Liberty」に結びついていったのかについて、自由と邦訳されるリバティの本質とは何かを考えてみたい。 まず英和辞典から「liberty」と「freedom」を引いてみよう。 ■ liberty 【自由】 1.(圧制、外国支配などからの)自由;(監禁などからの... Read More

リベラリズム考(3)―寛容

前の記事では啓蒙思想を扱った。 Lumières Aufklärung Enlightenment を日本語に翻訳した「啓蒙」の二文字には、ヨーロッパの各時代の歴史、そこに生きた知識人たちの葛藤と格闘による膨大な叡智が凝縮されていることを学んだ。こんにち、単に「リベラル」という語を軽く扱う現代の知識人、特にマスメディアや政治家、評論家は、啓蒙の叡知と... Read More

リベラリズム考(2)―啓蒙

リベラリズムの思想的淵源は「啓蒙」と「寛容」にあるというのが学者の共通了解ということであった。まずは啓蒙思想について調べ、そのアウトラインをリベラリズムの「イメージ」として映し出していこう。   ■ 啓蒙思想 Lumières Aufklärung Enlightenment いっさいを理性の光に照らして見ることで、旧弊を打破し、公正な社会... Read More

リベラリズム考(1)―多義性

昨今、政治におけるリベラルとは何か、保守とは何かの定義がぐらついており、日本の政治家の自称リベラル派とマスメディアによる、リベラルという語の語義、語感についての誤った表現には看過できないところが大いにある。この機会にあらためてリベラリズムを掘り下げてみようと思う。   リベラリズムとは何か。 直訳すれば自由主義であるが非常に多義的である。リバティ... Read More

自分は弱いと思い悩んでいる君へ

自分は気持ちが弱い、なぜあの人やあの人のように強くなれないのだろう。強くなりたいけどどうしたらよいかわからない。弱さを克服した人の話を聞いても自分にはそんなふうにたくまくしくはなれない。自分が弱いと思っている人が本当は強いなんて言う人がいるけれど、詭弁の言葉あそびじゃないか。 ここまで考えることができている君は、すっかり欺瞞と闘える準備ができている。 欺瞞... Read More

自己欺瞞との対決

日本古来からの価値観 「きよきあかきこころ」 における究極のすがたの前に、最終的に立ちはだかる最強の敵を私は、「自己欺瞞」だと考えている。清らかで明朗なこころが自分のすべてであるようにと希求する意志と主張、その裏に、無自覚に、無意識的に、密かに潜む自己欺瞞に私はうすうす気づいている。自己欺瞞との対決は、おそらく、仮に数百年生きたところで終わることはないと思... Read More

罰と躾と刑法

体罰の是非が問われるのは良い機会だと思う。世界的にも教育に体罰が必要か否かについて賛否が分かれ、問題として取り上げられている。ヨーロッパで特に躾の厳しいドイツやイギリスにおいてさえも、体罰を禁止する動きが加速しているが、一方で、イギリスの学校では一旦は体罰を禁止したものの、あまりの秩序の乱れにクリスチャンらが業を煮やし、「体罰を復活」の訴えが最高裁に出され... Read More

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