8月14日の断想記事『宗教と価値観形成(2)』で、宗教の哲学的探究についてのアウトラインをつくることができた。一つ一つの項目に入ることはいつでも可能となった。それはそれとして、課題の主たるテーマは価値観原理の理論化であり、その一つの要因として宗教がどのように価値観形成および価値観変容に関与するかである。
考えやすくするために分類していこう。まず、宗教が影響を与える対象を個人と社会の二つに分類する。最も基礎的な対象範囲についての分類。
次は時間軸。現在を含め過去はどうであったか、未来はどうなると予測できるか、過去未来を問わず普遍的な影響はどうか。時間軸では三つに分類する。
3点目は、宗教の目的から主体としての宗教が価値観に与える影響を、宗教の意義からは価値観が客体としての宗教に与える影響を考察する。宗教を主体の場合と客体の場合に分け、主従関係性上で二つに分類する。
主体としての宗教の性質が価値観に与える影響は、宗教教義による価値観、社会集団的な共同体意識の価値観、個人のアイデンティティの帰属価値観などがある。
価値観が客体としての宗教に与える影響について。まず個人的価値観および社会的価値観による宗教の解釈と評価である。宗教は価値観によって評価され、その内容が変化していくことも多い。また、為政者による政治的価値観によって宗教が道具として利用されることや、新興宗教の教祖や教団幹部の利益目的のために宗教が道具として利用されることもある。
4点目は、宗教の拡張性と求心性による価値観への影響を考える。宗教は信徒を増やし拡張する傾向をもつ場合があり、多くの信徒を繋ぎとめるために求心力を必要とし、内部への求心力を高める方法として、他の宗教に対する排他性を教義に盛り込む場合がある。その拡張性と求心性が、信徒および非信徒の心理に対してどのような影響を与えるか、社会に対してどのような影響を与えるかについて考察する。
5点目は、宗教教義の論理性と超越性について議論し、宗教自体、信仰者、布教に対してどのような影響を与えているかを考える。超越性は神秘性として、宗教のブランディングに有効となる可能性がある。
6点目は、5の論理性と超越性のように知性のみで宗教に接することと、身体的行為を含めた宗教の実体験とでは、宗教の影響はどう変わるのかについて議論する。例えば前の記事で触れた「祈る」行為による価値観への影響。
そのほかにも、価値観の視座による分類もある。宗教の真実面と虚構面、利益と損失、保守性と革新性など。4日間にわたっての断想記事「宗教と価値観形成」の整理にかんしては少し空白の時間をおき、私の無意識内に醸成されるのを待つことにする。あらたな閃きが突然現れる期待も込めて。