神話


8月8日の断想記事『物語化』で述べたように、私の哲学独創と美学建設の最終表現目標は、哲学と美学の小説創作にある。そのストーリーテリングの構想は、まだ白紙のままだ。どのような世界観にするのか。どのようなキャラクターを主人公にするのか。どのようなストーリー内容にするのか。幸いにして「何を伝えるのか」の内容は、哲学独創と美学建設によって尽きることは無い。

ふと思いついたのだが、「神話」の世界観はどうだろうか。

以下に、備忘録を兼ねて「神話」について、辞書と事典から引用する。


現実の生活とそれをとりまく世界の事物の起源や存在論的な意味を象徴的に説く説話。神をはじめとする超自然的存在や文化的英雄による原初の創造的な出来事・行為によって展開され、社会の価値・規範とそれとの葛藤を主題とする。(広辞苑 第六版)

古くから人々の間に語り継がれている、神を中心とした物語。宇宙・人間・文化の起源などを超自然的存在の関与の結果として基礎づけ、説明した話。神聖な真実として信じられ、日常生活の規範として機能することもある。人間の思惟や行動を非合理的に拘束し、左右する理念や固定観念。(大辞林 第三版)

宇宙・人間・動植物・文化などの起源・創造などを始めとする自然・社会現象を超自然的存在(神)や英雄などと関連させて説く説話。実態は明らかでないのに、長いあいだ人々によって絶対のものと信じこまれ、賞賛や畏怖の目で見られてきた事柄。(大辞泉)

【人間と神話】ホモ・サピエンスとして地上に出現として以来、人間は、いつの時代どこの場所でも必ず神話を持ち、それによって世界や人間や文化の起源を説明し、神話が提供する範例に従って、社会を組織し生活することを続けてきた。他の生物はすべて、本能に従って自然に生きているので、生き方の意味や理由を説明し、自分たちに納得させる必要はない。ところが人間の文化は、本能に従ったものではなく、どれも自然から明らかに逸脱している。だから人間は、それぞれの文化で行われている、どれも反自然的な制度や習俗が、なぜ必要で尊ばれ守らなければならぬかを説明する神話を持たずには、文化を維持していくことが、そもそもできない。フランスの大神話学者だったデュメジルはそのことを、「神話を持たぬ民族がもしあれば、それはすでに生命を無くした民族だと言うべきであろうと言い切っている。(岩波 哲学・思想事典)


ニーチェは「神は死んだ」と言ったが、その神は価値観を依存するモデルであり、神を盲目的に信じる民に向けて、個々の人間みずからが価値観を創造すべきだと言いたかったわけだ。

もし私が創作する小説を神話化するとして、徹底的に「問い」を人類個々に生じさせるイメージになる。神や英雄は一切の答えを出さず、「人間」を問い質すようなストーリーになる。

検討してみよう。

 

 

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