「判断する」ことの種類分解


「判断する」とはどういうことか。判断を行うことは、人間が生きる上で最も重要な行為の一つである。判断は単なる「判る」にとどまらず「決定する」という行為を含意する。私たちは、あらゆる情報を判別し決定する。常にジャッジしているんだ。判断保留も判断に含めるとすれば、判断の連続によって生きることができていると言える。例えば、その情報は正しいのか誤りなのかとか、幾つかの選択肢を相対評価して行動や言動を決定するとか、日常全て、自分自身が判断したことによって人生が成立している。

子どもは未だ判断能力が未熟だからという理由で親の保護下にあり、自由な意思決定と行動の制限を受ける。子どもを危険から回避させ、彼らにとって安全な環境を整えるためには当然だ。では、子どもの判断能力はどのようにして向上していくのか。「判断すること」は極めて重大なテーマであるが、子どもの教育において「判断する」という概念を、いったい誰がロジカルに教えているのだろうか。教えることができる人が、たった一人でも日本に存在しているのだろうか。

最も重要な点は、判断が意志に直結するということだ。自由な意志は自由な判断からしか生成されない。意志について語るのならば、まず判断について語らねばならない。もっとも、ここでの「自由な」という形容概念については精緻な哲学的議論が必要になり、しかし、今回は「自由」には踏み込まない。

まず、”何を” “どのように”「判断する」のかについて分解してみよう。

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1.真偽判断

その情報について真実か虚偽かの判断をする。その情報以外の情報を活用し、論理的な推論と客観的な認識によって事実か否かを判断する。

2.正誤判断

因果関係を成立させるロジックが、落ち度なく形成されているかどうかを判断する。相対関係から因果関係を推論した場合に正確性はどの程度あるかを判断する。専門知識や統計データなどのエビデンスの裏付けをとる。思考技術も必要。

3.時間的判断

過去の出来事や経験に対する評価と反省を行って判断する。 未来の出来事や結果を予測し、緻密な推論の仮説を立てて判断する。未来の可能性に対して、広く開いた視野をもつこと。

4.自己価値観判断

自己の価値観基準によって主観的に判断する。身体的健康上の判断、安全と危険の判断、功利的な損得判断、道徳的判断、美的および美学的判断、信念的判断など。

5.社会価値観判断

社会の価値観基準に沿って客観的に判断する。社会利益的判断、倫理的判断、人間関係的判断、社会秩序的判断(公平や公正)、自然科学のロジックによる判断など。

6.感情的判断

感情はその時々の環境状況や身体状態によって変化する。好悪感情による判断、楽しいか気乗りがしないかの判断、他者それぞれ個々に対する愛情や友情または嫌悪感情による判断、その時の幸不幸の感情による判断、不安や恐怖感情による判断、憤怒や義憤による判断、悲哀感情による判断、他者の感情に配慮した感情判断など。

7.目的的判断

問題解決、創造、自己実現、自己成長、社会貢献、社会実現、自然環境保全などに関連して判断する。目的へ向かう動きのある判断。

8.判断保留判断

早急に判断しなければならないこと以外の場合、1~7の判断項目を検討した上で、現時点では判断を保留するという判断をおこなう。

9.意思決定判断

可能な行動オプションから適切な行動を選択し判断する。1~8を統合して意思決定し、意志へと昇華させる。

 

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以上が、「判断理論」を独創するための、現時点での「判断種類」についてのアウトライン。考え付いた概観を書いてみただけなので、まだまだ原案もいいところ。

 

 

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