実在世界が観念世界を創る


実在世界がどのように形成されるのかについては、観念世界を分析していく後半にその場面がくる。まずは観念世界がどのように生成され、形成され、変容し、主体によって活用されているのかについて考えてみる。

観念世界は、実在世界からの信号を私たち人間が受け取るところから始まる。生後、実在世界なくして観念世界はない。実在世界は、無限空間と無限時間か、またはそれに近い膨大な時空を形成している。しかし、私たち人間ひとりが直接信号を受け取り可能なのは、個々におけるその時々の「知覚空間」しかない。代表的な五感感覚だけではなく、10~20種の身体性感覚によって、実在世界の知覚空間から信号を受け取り、「感知」する。

感知だけでは何も生じない。感知から「認知」へのプロセスがある。スピードの速さに応じて、第一に「身体性感覚」による判断、第二に「直観」と心性的な「勘と感性」による判断、第三に「思考」による解釈と理解による判断が行われる。私はこの「身体性感覚」「直観」「勘と感性」「思考」の四つを、判断するための「機能」と位置付ける。思考機能には「技術」がある。

これらの機能を生かすには知識と知恵、価値観が必要である。生後まもない赤ちゃんのときから人間は、睡眠時以外、認知を常に繰り返すことで学習経験を積む。経験によって知識と知恵、価値観を獲得する。

ところで、これらの機能が何について判断するのかの種類については、9月23日の記事『「判断する」ことの種類分解』に書いた。上記の四機能については、詳細を後日、別記事に書く予定をしている。

四機能のいずれか、または重複の判断によって、実在世界のごく小さな一部である私的知覚空間の感知から認知までの知的作業が、人間の観念世界内で行われる。

以上は認知プロセスを表したもので、観念世界に一歩足を踏み入れた程度であり、ここからが観念世界の本番である。次の記事では、観念世界の100%を形成する「想像」について考えていこう。「想像」は、推測や推理、推論によって「想定」や「予想」「構想」にもなり、創造力によって「理想」「幻想」「妄想」「空想」にもなる。他者のこころを推し量るなど、共感や感情的想像にも関連する。

この想像に使われるのは、上記四機能のうち「身体性感覚」を除いた、「直観」「勘と感性」「思考」の三機能となる。

 

 

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