ミンスキー『心の社会』

この本では、心がどうはたらくかを説明しよう。知能は、知能ではないものからどのようにして現れてくるのだろうか。この問いに答えるために、この本では、心がたくさんの小さな部分を組み合わせて作れることを示そうと思う。ただし、それぞれの部分には心がないものとしよう。 このような考え方、つまり、心がたくさんの小さなプロセスからできているという考え方を、《心の社会》と呼... Read More

『愛するということ』―2

フロムの愛する技術は、知→尊重→責任→配慮という4要素の流れによるものだった。私は流れではなく、3要素を技術として独立させ考えてみようと思う。 相手をよく知ることは大切だ。しかしよく知らなくても尊重はできるだろう。また、責任についても尊重の範囲内に収まると考える。配慮にかんしては実践であるので単体の要素としたほうが解りやすい。 よって、まず第一に「尊重」を... Read More

『愛するということ』―1

世界的にロングセラーとなっているエーリッヒ・フロム著『愛するということ』を数年間にわたって何度か読み返してきましたが、今回は「愛する」よりも「技術」に焦点をあてて考えています。 原著のタイトルは『THE ART OF LOVING』で、直訳すれば「愛することの技術」です。「技術」を表す英単語は他に があり狭義では も入りそうです。本書タイトルで著者は... Read More

無意識の調律(2)

暗中模索のまま進む「無意識の調律」ですが、調律を行うのはあくまで無意識であって、意識上の私はそのサポートをするしかない。意図的な調律はできない。 意識上に生じる「私」は私全体の主人公ではないのだ。 私全体の主人公は無意識であり、意識は無意識の出先機関のようなもの。これを意識上の私が感覚にまで落としこめるかどうか。無意識が主人公であることを頭でわかるだけでな... Read More

無意識の調律(1)

「無意識の“調律”」をライフワークにしていこうと思う。 科学にはならないとは思うけれど、普遍的な何かを目指してみよう。 “調律”することが「良い」のではない。「良い」は“調律”のなかに含まれなければならない。この点は哲学的な精確さを追求する。“調律”の意義があるとすれば、進めながら発見できるのかもしれない。要は私の好奇心というだけなのだが。 論理を組み立て... Read More

リベラリズム考(11)―新構想

今回が本シリーズのラストの記事となります。   新しいリベラリズムを構想する。 個人主義と共同体主義の公正、自由と正義、自由主義の他律化など、相反する価値が混在しているリベラリズムは下手をすれば社会混迷の原因になりかねない。克服すべき点は多いがもっとも現実的な「寛容のパラドックス」を題材に、新しいリベラリズム構想を練っていくことにする。 &nbs... Read More

リベラリズム考(10)―概括

今回のシリーズで、リベラリズムについての要点をある程度はあきらかにすることができたと思う。しかし、遠く2500年前の古代ギリシア時代に淵源をもつ、リベラリズムの歴史における深淵の一端をうかがえたに過ぎない。本格的な独自考察は今後じっくりと進めるつもりです。ジョン・スチュアート・ミルの『自由論』、アイザィア・バーリンの『自由論』、ジョン・ロールズの『正義論』... Read More

リベラリズム考(9)―批判

リベラリズムには多面的な主張があることが解ってきた。 自由に境界を超えてゆこうとすること、現状の価値を理性の力によって変革しようとすること、進歩を良いこととすること、先入観の排除および事実と分析、個人主義と自律、他者の個人主義的主張を理解し認める寛容、公正としての正義など。 19世紀よりこうした多面的価値観が交錯しながら、つまりある面とある面では矛盾を抱え... Read More

リベラリズム考(8)―正義

リベラリズムの淵源である「啓蒙思想」は、理性の光によって公正な社会を啓(ひらく)くことであった。では、公正とはいったい何か。さっそく理性の光で照らし、リベラリズムの本質と「正義」との関係を掘り下げよう。   現在の日本でリベラルの権威は誰かと問えば、井上達夫東大教授の名が挙がるだろう。井上氏によれば、リベラリズムとは正義主義だという。 井上氏が東... Read More

リベラリズム考(7)―自律

前記事の後半で言及した「自律」については、個人主義において重要な位置を占めると思うのでもう少し掘り下げてみたい。 まず、西尾幹二氏の言葉を引く。 ことさらに社会的意識を標榜せずとも、ただ「個人」であることによって、じゅうぶん社会化された個性を発揮できるというのが真の個性の意味なのである。(中略) 「個人」が自律的であるということは、「社会」からの解放や自由... Read More

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