『正法眼蔵』から学ぶ

道元の大著『正法眼蔵』。今までは気が向いたとき断片的に、原典に軽く触れるだけだった。しかし原典は難しい。もし任意の一巻だけでも真剣に自力で解釈しようと思えば2-3日では済まない。解釈も日々変わる。 今回、思うところがあり、現代語訳の書物の手を借りながら真剣に読んでいくことにした。巻の数え方は諸説あるが「七十五巻」として進めていく。第一巻から読み始めるという... Read More

「一部を全部」体系的に

最近特に思うことだけれども、人間の原理について一部を説明できても、実質的にはその一部さえも説明不完全となる。あたりまえなんだけどね。例えば「思考」の原理を説明するとしよう。思考するには概念が必要不可欠になる。思考についてのみ完全に説明できたとしても、概念の原理を説明できていなければ思考原理についての説明は不完全だ。思考には直観原理も価値観原理もある。身体性... Read More

「日本人」の個性(8)まとめ

断想の連作は久しぶりだった。「日本人」の個性をこの程度でまとめられるはずもなく、少なくとも1年間程度は書き続けなければ何も言っていないと同じようなものかもしれない。「断想」を免罪符に、思い付きの連続をブリコラージュ的に綴ってみただけだ。 ただ、「私の美学建設」は「人類哲学の独創」とともに私のライフワークであり生きがいでもあるので、日本の思想文化における美学... Read More

「日本人」の個性(7)忍ぶー3

前の記事までは「忍ぶ」という概念を思考的に分析した。今回は、芥川龍之介の短編小説『手巾』に描かれている「しのぶ」の概念に接し、感覚的および感情的に感じてみよう。なお本作には「しのぶ」も「忍ぶ」も、一文字もない。 本作は著作権が切れており、あおぞら文庫に収録されているからインターネット上で誰でも読める。以下に、私流にあらすじを簡略して書くけれども、原作にあた... Read More

「日本人」の個性(6)忍ぶー2

日本語の「しのぶ」について考えてみよう。前の記事では中国語概念の「忍」について考察した。「忍」に、刃のような惨い心という概念を言語化した意味が紀元前の中国にあったことは、私的には貴重な発見だった。では、日本語の「しのぶ」はどのように形成されたのか。 まずは「しのぶ」の語源についてである。 この種のことを考えるために準備してある私の所有している辞書は、三省堂... Read More

「日本人」の個性(5)忍ぶー1

前々回の断想記事にある日本人の生きかたの美意識のなかに、「忍耐」というキーワードがあった。「忍ぶ」と「耐える」は同じような意味ではあるが、前者には美学的な見地がある。後者は物理的な耐性の意味およびそれを精神的耐性に転換した意味がある。前記事までは抽象マックスの視座で書いてきたが、今回は抽象の階段を一段階下りて、「忍ぶ」について考えてみたい。抽象の階段を一段... Read More

「日本人」の個性(4)哀感

私が愛読書としている本に、竹内整一著『「かなしみ」の哲学』がある。この本は、日本人のもつ「かなしみ」という感情概念を、歴史上の文学作品を引用しつつ分類し分析している。特に分類のしかたが私のお気に入りである。同時に、引用される文学作品の文章に触れることで、情が刺激を受ける。引用文の著者の心に共感し、自分の心が潤う。 「日本人の個性ここにあり」と、「かなしみ」... Read More

「日本人」の個性(3)人生美学と精神美学

今回は、世界の側からみた日本人の生きかたの美意識、人生美学についてである。精神美学と言ったほうが適切かもしれない。物理的、芸術的な美学とは違って、生きることの価値観が現れる。 以下にChatGPTの見解の一部を転載する。 日本人の人生美学や生き方の美意識には、以下のような特徴があります。 1.繊細さと静けさの尊重 日本人の美意識は、繊細で緻密なものが価値... Read More

「日本人」の個性(2)文化的美意識

日本人は何に情熱を傾けるのか。その情熱の源は何か。まず、これについてChatGPTと議論してみた。なお、ChatGPTはアメリカ・カリフォルニア州にあるOpenAI社が開発したものである。そのため彼は、同地域の社会文化やイデオロギーの影響を少なからず受けていることを自ら述べており、このことを念頭において私は彼と議論している。彼の「日本人」へのまなざしは全く... Read More

「日本人」の個性(1)アイデンティティ

「日本人」をテーマにするとき、よく引用される加藤周一の論考に『日本人とは何か』がある。有名な論文なので知っている人も多いだろう。まずは書き出しの文章から。 日本人とは、日本人とは何かという問を、頻(しき)りに発して倦(う)むことのない国民である。(筑摩書房版『現代倫理講座』一九五八年)   なお、私の引用元は講談社学術文庫版の加藤周一著『日本人と... Read More

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